前回前々回と、ビジネスモデルを構築し、構築されたビジネスモデルを維持し継続的に強化していくために、知的財産はもちろんのこと契約等の法務的な観点からの検討を行うことは、今までにない新しい価値を創ることができる試みである、というお話をしました。
今日は、そもそもビジネスモデルとは何か?というお話です。

ビジネスモデルという言葉は、ビジネスモデルに関する解説書等においても、
「ビジネスモデル」という用語は企業各社の取締役会における常套句となった。企業の活動状況や問題点の兆候について話す際に利用されることもあり、例えば、「成功を継続するにはビジネスモデルを変える必要がある」といった具合である。今やビジネスモデルという用語を使わない管理職を見つけるのはほぼ不可能である。ところが、この用語の意味については、同じ企業内でも人によって考え方に大きな開きがある。言い方を変えると、ビジネスモデルについて議論をするために集まっても、議題であるビジネスモデルについての各人の理解がまったく異なっていることがあるのだ。言うまでもなく、そのような議論がかみ合うはずもない。*1
と書かれていたりします*2



実際に、ビジネスモデルの解説書を見てみると、例えば、『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書』においては、「ビジネスモデルとは、どのように価値を創造し、顧客に届けるかを論理的に記述したもの。」という、かなり広い定義をしています。
*3

また、『ビジネスモデルの教科書【上級編】』においては、「ある業界を前提とした競争優位獲得を目的とした仕組み」という定義をしています。


他にも、様々定義がなされていますが*4、私は、『ビジネスモデルの教科書【上級編】』の定義を基に、「ビジネスモデルとは、ある領域における持続的な競争優位の獲得を目的とした仕組み」と考えると、法務知財的な観点が活かしやすいと考えています。

これは、『ビジネスモデルの教科書 【上級編】』の定義と基本的に同じ定義ですが、法務知財戦略という観点からビジネスモデルを考えるために、①「業界」を「ある領域」に、②「競争優位」を「持続的な競争優位」にしています。
理由は、「業界」を「従来からある既存の業界」と理解してしまうと「潜在的競合」、つまり、一見すると競合していないように見える企業を見落としてしまう可能性があるため、「業界」よりも抽象度の高い「領域」という言葉に修正し、また、「競争優位」については、獲得すべき「競争優位」性は一時的なものでないことを明らかにするために*5、「持続的な競争優位」に修正しました。
その上で、ビジネスモデルキャンバスを利用する方法を考えています*6


<脚注>
*1 『ビジネスモデル・ナビゲーター』19頁
*2 法学(法律学)では、法律用語をはじめとして言葉は定義をして使うことが普通ですが、経営学という学問は、法学(法律学)に比べると言葉の定義をせずに(少なくとも、定義を共通認識とせずに)使うことが多いように思います。同じことに違う名前を付けたり、違うことなのに同じ名前だったりと・・・。
*3 この本は、とても良い本なので、後日、改めて紹介したいと思います。
*4 他に読んだ本としては、『ビジネスモデルの教科書 経営戦略を見る目と考える力を養う』『カール教授のビジネス集中講義 ビジネスモデル』等があります。なお、ビジネスモデルの定義については、『ビジネスモデルの教科書 経営戦略を見る目と考える力を養う』よりも『ビジネスモデルの教科書【上級編】』の方が良いと思いますが、ビジネスモデルキャンバスを利用したビジネスモデルの分析という観点では、こちらの方が良いと思います。
*5 一時的な競争優位性であっても、ビジネスモデル等により、一時的な競争優位性が連続的に生じる場合は、持続的な競争優位性であると考えます。
*6 ビジネスモデルキャンバスとその活用方法は、また別の機会にお話したいと思います。