『ザ・ゴール - 企業の究極の目的とは何か』
MOTの授業で副読本になっていたので、この機会に読んでみました。

2001年に出版された本ですので、今頃?という感じかも知れませんが、工場とは縁遠い業界の企業の、それも法務や知財という管理部門にばかり所属していたため、出版当時話題になっていたのは知っていましたが、「工場の業務改善のプロセス」に関する本書はなかなか読むに至らず・・・。

さて、感想はというと、今でも私は工場とは縁遠い業界かつ職種ですが、もっと早く読んでおけば・・・、と今更ですが後悔しています*1
この『ザ・ゴール − 企業の究極の目的とは何か』は、TOC(制約条件理論)に関する本で、いろいろと学びは多いのですが、私なりに本書の重要なポイントをあげると、
① 目的(=ゴール)との関係で、全体最適化をすべきである。
② 部分最適を繰り返し積み上げても、全体の最適化にはつながらない。
③ 目的(=ゴール)達成のためにボトルネックとなっている部分を全体から見つけ出す。
④ 目的(=ゴール)達成に近づくように、ボトルネックを必要に応じて最適化すべき。
⑤ 全体最適を目指すなら、各部署に一斉に業務の効率化やコストダウンに取り組ませるな。
⑥ 部分によっては、最適化しない方がゴールに近づくものがある。
⑦ 部分最適のためのコストダウンは止め、目的(=ゴール)達成のために必要なコストをかける。
となります。


契約書の作成やレビューという業務は、事業部の要求するスピードに合っておらず、納期遅延を多発しやすい業務です。従って、法務においてマネジメントの仕事をしていると、契約書の作成やレビュー業務のスピードアップや効率化は避けられません。

これに対して、マネジャーは、通常*2、各法務スタッフに、スピードアップのための能力開発や業務の効率化を求めていることが多いのではないでしょうか*3
でも、これは、法務部門を一つの工場とするならば、生産性を上げるために、各部署(=各法務スタッフ)に一斉に能力開発や業務の効率化に取り組ませているだけで、ゴールに近づかない部分最適を繰り返しているだけにすぎないかもしれません。

また、納期を守るために、依頼から回答までの時間を延ばす、なんて方法を採用するマネジャーもいるのではないでしょうか。
こんなことをすると、おそらく本書を読んだビジネスサイドの方から、『リードタイムを長くして、仕掛品を増やしても、相変わらず部分最適をしているだけであり、問題は解決しない。むしろ、悪くなる。ゴールに近づくためのボトルネックを解消し、全体最適を図らないと。。。法務はビジネスがわかってないな。』などと言われかねません*4

本書は、工場の生産性をテーマにしているため、本書に答えが書いてあるわけではありませんが、部下に無駄な部分最適を強いるのではなく、ゴールとの関係でボトルネックになっていることを見つけ出し、その解消に注力するという、本来、マネジャーがすべき仕事が何かを示すとともに、解決のためのヒントを与えてくれています*5

<評価> ☆☆☆☆
(法務部門や知財部門のマネジメント職の方に。)


<脚注>
*1 ただ、2001年の出版当時に読んで、同じように理解をできたかは疑問ですが・・・。やはり、そのときは、『「工場の業務改善のプロセス」に関する本か。いまいち役に立たなかったな・・・。』と恐ろしい感想を持つに過ぎなかった気もします。
*2 通常と言いつつ、私自身と私自身の経験(伝聞を含む)に基づくものですが・・・。
*3 いや、まぁ、私もそのうちの一人であることは、否定できませんが・・・。
*4 そう言われたからって、「それが何?」というのも、一つの法務部門のあり方かもしれません・・・。この点については、正直、悩み中です。。。
*5 法務部門の生産性アップのための人材教育も必要なことは理解をしていますが、マネジャーが法務として優秀であればあるほど、問題解決を個々人の勉強に求める傾向が強いのではないでしょうか。その結果、「自分(=マネジャー自身)は、もっと勉強していた。」から始まって、「人が育たない」とか、「教育には、時間がかかる。」とか、「最近の◯◯は・・・。」とか嘆くだけでなく(笑)、別の方法で問題を解決を図っても良いのではないでしょうか。