ここ数年で、特許情報調査の在り方というか、特許情報調査の意義が随分と変わったように思います。
変わった、というより、新たな視点・観点が加わった、と言った方が正しいのかもしれません。


これまで特許情報調査といっても*1、特許出願時の先行技術調査(特許性調査)、製品・サービス開発時*2の侵害回避調査(他者特許調査)、係争時の無効調査がメインの、いわゆる特許調査であったように思います。

これらの調査は現在でも重要な調査であり、知財部員*3にとって重要な仕事の一つでもあります。

しかしながら、最近は、これまでとはちょっと違った観点*4から技術動向調査が行われたり、技術力を補完するための業務提携やM&A(候補)の企業を探すための特許調査など、これまでの特許調査のように個別の製品やサービスレベルでの知財活動ではなく、経営戦略や事業戦略に近い、若しくは、これに貢献するような調査、すなわち特許情報調査が意識的に行われるようになってきているように思います。
そして、今後も、このような傾向は続くと思いますし、より洗練され、高度化していくものと思います。

さて、そんな特許情報調査ですが、技術に関するものということで、何となく難しそうとか*5、「特許情報調査と言えば、サーチャーという職人の仕事。」といった感じで、法務部員はもちろん、知財部員でもちょっと苦手意識を持ってる人は多いのではないでしょうか*6

そのような背景があってなのか、このところ特許情報調査に関する良書がいくつか出版され、一部のサーチャーの方々の調査ノウハウ(暗黙知)が公開(形式知化)され始めました。

というわけで、これから数回に分けて、一部のサーチャーの方々の調査ノウハウ(暗黙知)が公開(形式知化)された特許情報調査に関する良書を紹介していきたいと思います*7


<脚注>
*1 最初に、ここ数年、と言いましたが、ここ10年くらいのこと、と言った方が正しいかもしれません。
*2 開発時だけでなく、発売・リリース時にも、侵害回避調査をすることもあります。
*3 知財部員だけでなく、知財教育が行き届いた研究開発者にとっても、技術動向調査や先行技術調査は、未だに重要な調査であり、仕事だと思っています。
*4 ブルーオーシャンを探したり、ポジショニング戦略を策定するための判断要素の一つとして技術動向調査を行うなど、経営戦略や事業戦略に資することを意識したものが行われるようになってきたように思います。
*5 特許=技術=理系。ということで、理系でない(理系の素養がない)と思っている人には、それだけで敬遠したくなることなのかもしれません。。。
*6 一人で特許情報調査をしていると、本当に、これで正しいのか、検索漏れはないのかなど、不安になることが多々あります・・・。
*7 すみません、今日は前置きだけです。。。