法律書や法務知財関連の実務書を紹介し、書評をさせて頂いたりしていますが、どのような考え方に基づいて書籍を紹介し、書評をしているのか、私の考えを整理してみました。


私が書評をする際には、以下の5点(細分化すると7点)を意識して書評をしています。
① 書籍のタイトルと内容、はしがき(まえがき)等で述べられている執筆意図(目的・趣旨等)と目次・内容とが合っているか*1
②-1 入門書・基本書の場合、理論がシンプルに整理されており、理論面の正確さと内容の分かりやすさとのバランスがとれているか。
②-2 法律専門書の場合、理論面の正確さや鋭さ、判例・裁判例の引用数とその正確性、および一定程度の実務面への配慮があるか。
②-3 実務書の場合、理論は理論としたうえで、実務上の課題や悩みを的確に捉えて、その解決策や指針を示しているか。
③ 参考文献や引用文献は豊富で正確か。
④ 類書との比較で、新しい視点や考え方、有益な情報など、好ましい特徴があるか。
⑤ 経営や事業を意識していたり、経営戦略や事業戦略との融合を意識しているか。

基本的には、これらの総合評価ですが、重みは、その時々で変わります*2

上記に加えて、幾つか補足を。

まず、信頼に足る書籍かどうか、という観点では、記載されている内容の中で、私自身がそれなりに自信のある分野ないし事項に関する記載を確認し、記載の正確性や記載されている内容の深さをはかり、判断をするようにしています*3

また、実務書については、やはり実務の悩みを理解したうえで、できるだけ現実的な解を提示してくれているものがありがたいです。
理論的には、そのとおりだと思えても、法律の専門家以外の人にも、理解をしてもらう必要があるのが、実務ですので・・・*4

最後に、私自身にとって有益かどうかは、その時に関心を持っていることや色々と悩んでいることについて、そのものズバリの記載があるか*5、または示唆に富む記載があるかどうかがポイントになります。


<脚注>
*1 書評や評価の際には、私にとってどうか?ということよりも、書籍のタイトルと内容、はしがき(まえがき)等で述べられている執筆意図(目的・趣旨等)と目次・内容とが合っているかを重視しています。つまり、執筆者が想定している思われる読者層を無視して書評や評価をすることがないように、私になりに評価をさせて頂いています。ただし、時には、想定されている読者層が、良く分からない場合もありますが・・・。
*2 基本的には、①の、書籍のタイトルと内容、はしがき(まえがき)等で述べられている執筆意図(目的・趣旨等)と目次・内容とが合っているかを重視していますが、必ずしも、常にこの比重が大きいわけではなく、④の類書との比較で、新しい視点や考え方、有益な情報など、好ましい特徴があったり、⑤の経営や事業を意識していたり、経営戦略や事業戦略との融合を意識していたりする場合は、評価があがることもあります。
*3 私自身がそれなりに自信のある分野ないし事項、という点が、怪しいことにならないように、これからも勉強を続けていきますが、時には、きちんと理解できていないこともあるかもしれません。。。その際は、何卒、ご容赦を・・・。
*4 法律を勉強し始めたころは、「学者に比べて、裁判官や弁護士さんは、やはり、実務家だな(もとい、意外にロジカルでないな)。」なんて不思議なところで感心をしていましたが、社会に出ると、そんな裁判官や弁護士ですら、実社会からは理解されない存在なんだと、痛感することもあります。
*5 そのものズバリの記載があることは、あまりありませんが・・・。