前回、最初に行うことは自社の知的財産の見える化ではなく、同じくらいの規模の(できれば同業)他社の知的財産活用の成功事例を見せること、という話をしました。

理由は、「自社の知的財産が売上や利益にどのように貢献しているか見える化をしましょう!」と言うのは簡単ですが、実際にきちんとこのような見える化の作業を行おうとすると、競合他社の分析が不可欠のため、中小企業であっても相当のコストがかかり、経営者が容易にこのような活動を行うことを承認してくれないと思いますし、競合分析を適切に行うたまには、それなりのノウハウが必要だからです*1


さて、経営者に見せるべき『同じくらいの規模*2の(できれば同業)他社の知的財産活用の成功事例』は、できるだけ定量的なものが望ましいです。
理由は簡単で、定量的な成功事例の方が、経営者がそのメリットを理解しやすいからです。
数字として、売上や利益にいくら貢献しているか見せられれば、それが一番ですよね。

ただ、問題は、どのようにして経営者に見せるための『同じくらいの規模の(できれば同業)他社の知的財産活用の成功事例』見つけるか、です。
これは、正直かなりハードルが高いと思います。そもそも、知的財産が売上や利益にきちんと貢献している中小企業の数は少ないと思いますし、仮に、見つけられても、外部に公開できる、教えていい情報であるかというと、必ずしもそうはならず、特に同業他社となるとさらにハードルがあがります。
しかしながら、ここが一番大切なところですから、様々な人的ネットワークを駆使して、『同じくらいの規模の(できれば同業)他社の定量的な知的財産活用の成功事例』を入手する必要があります。
どうしても、このような成功事例を独力で入手できない場合は、このような情報をきちんと提供してくれる知財コンサルタントを活用すべきだと思います*3

なお、上記のような情報を提供してくれる本当に優秀な知財コンサルタントかどうかを見分けるために、次のような定性的な情報は予め入手しておいた方が良いと思います。

○ 知的財産権活用企業事例集2014
○ がんばろう日本!知的財産権活用企業事例集2012
   ~知恵と知財でがんばる中小企業50の物語~《第2弾》
○ がんばろう日本!知的財産権活用企業事例集2011
   ~知恵と知財でがんばる中小企業50の物語~《第1弾》
○ 中小企業支援知的財産経営プランニングブック
○ 知財戦略コンサルティング―中小企業経営に役立つ10の視点


そして、自分たちはここまでの情報を持っているので、是非、『同じくらいの規模の(できれば同業)他社の定量的な知的財産活用の成功事例』を提供してもらえるか、知財コンサルタントに聞いてみてください。
このような情報を提供しくれる知財コンサルタントなら、本物だと思いますので、長くお付き合いできると思いますし、きっと経営者もその知財コンサルタントを信頼してくれると思います。



<脚注>
*1 ただし、テクノロジーの進化により、低コストで自社の知的財産の見える化が行える可能性はあります。最近では、「Traklight」もそのようなテクノロジーのひとつだと思います。「Traklight」に関する日本語の説明サイトは、こちら
*2 「同じくらいの規模」という要件も、かなり重要です。規模が違えば、かけらるコスト=投資額が異なるため、あまり規模が違う(大きい)企業の成功事例を見せられても、経営者に夢物語か、皮肉にしか聞こえない場合もありますので、注意が必要です。
*3 知的財産コンサルタントのみならず、各種の専門家と呼ばれる人たちから本当に優秀な人を見つけるのは至難の業です。これはコンサルタントに限らず優秀な弁護士、弁理士を見つけることについても同様だと思います。弁護士、弁理士という資格が、本当に優秀な人材であることを保証してくれているかのように見えるため、その難易度は増すように思います。