2014年12月25日に開かれた第11回(新)産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会についてです。

第11回の配布資料には、『我が国のイノベーション促進及び国際的な制度調和のための知的財産制度の見直しに向けて(案)』があり、現在、こちらがパブリックコメントに付されています。


締切日は、2015年1月15日ということで、年末年始を挟んでいてあまり時間がないですね。

前回、「玉虫色」といった、「産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会とりまとめ案」と今回の『我が国のイノベーション促進及び国際的な制度調和のための知的財産制度の見直しに向けて(案)』の職務発明規定の改正に関する部分は、私の見た限り同じもののようです。

もし、このまま「選択制」という方向性で議論を進めていくのであれば、以下の2点について、是非議論をして欲しいと思っています。

①特許を受ける権利の帰属が、原始的使用者帰属か原始的従業員帰属かの「選択制」になる場合、原始的従業員帰属を選択した企業においては「二重譲渡」および「特許を受ける権利が共有に係る場合の帰属の不安定性」といった問題は解消されないのではないか。
②特許を受ける権利の帰属について、原始的従業員帰属を「選択」した企業に対して、契約において、委託者や共同開発者となる企業等が、「受託者が受託した業務を行う過程で発生した特許を受ける権利を含む知的財産権は、納品物や成果物に関するものを含めて委託者に帰し、その譲渡対価は、委託料に含まれるものとする。」としつつ、「受託者は、従業員から特許法に基づいて特許を受ける権利を譲り受けるものとする。」という義務を課す条項を設けることで、実質的に、選択制を設けることとなった趣旨、すなわち、『職務発明に関する契約・勤務規則等を有しない法人に対しては、特許を受ける権利が当該法人に自動的に帰属することで、当該法人に所属する発明者の権利が不当に扱われ、使用者等と従業者等の間のトラブルの原因となることのないようにする。』という目的が達成できないおそれがあるのではないか*1


それにしても、職務発明に関する「選択制」って。
一体、誰のための、そして何のための制度なのでしょうか。
もう一度、政策的な価値判断から、やり直した方が良い気がします。。。

<脚注>
*1 ②については、この説明だけでは、私の意図するところが、少し分かりにくいかもしれません。詳しくは、中小企業と職務発明 - 第9回(新)産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会② -をご覧いただければと思います。