先日、こちらの記事で、「本当は、別のエントリーをする予定」と書きましたが、もともとは、今日の記事を先にエントリーする予定でした。。。
そして、さらに朝日新聞の誤報(?)の件もあって、今日になってしまいましたが、非常に興味深い記事のご紹介です。


先日来、職務発明に関するエントリーをしてきましたが、それに関連して、こちらを見つけました。


高い報酬は最悪のパフォーマンスを生む! 科学が明らかにした「アメとムチ」の弊害

もとの動画は、こちらのダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」です。
動画の方が臨場感もあって面白いのですが、時間のない方は、「高い報酬は最悪のパフォーマンスを生む! 科学が明らかにした「アメとムチ」の弊害」の方を読めば良いかと思います。

Daniel Pinkさんの主張を私なりに要約すると、「金銭的報酬は、全体的なパフォーマンスにネガティブな影響を与える」ということです。
特に、「金銭的報酬は、アイディアが生まれてくることを阻害し、クリエイティブな能力が発揮されず、クリエイティビティが損なわれる。」と。
そして、この主張が正しいということを様々な実験結果をあげて説明していきます。

では、どうすべきか?
Daniel Pinkさんは、モチベーションを研究する科学者達が、すでに私達が取るべきアプローチを示してくれているといいます。
その新しいアプローチとは、自分が大切だと思うから、やりたいから、好きだから、面白いから、社会を変える重要な動きの助けになるからといった、内発的動機づけ、自分の内からくるモチベーションが必要であるとしています。

この記事を読んで、ふと思ったことがあります。
それは、高輝度青色発光ダイオードの発明者である中村修二さんのことです。
中村さんは、404特許の相当の対価訴訟で請求した200億円(200億円は一部請求で、東京地裁が認定した相当の対価の額は604億円)のために、高輝度青色発光ダイオードの発明をなしとげたのか?と。
中村さんは、訴訟において、「404特許の研究に対して、会社のサポートはなかった、むしろ、日亜化学社長の書面による業務命令で当該研究を中止するように求められていた。」という趣旨の主張をされています。
これは、本当に私の勝手な思い込みですが、おそらく中村さんは、もともとは自分が本当に好きな、そして、社会にとって必要であり、役に立つことだと考えて研究に打ち込んでいたにもかかわらず、それを会社によって否定されたことで、中村さんの反骨精神に火がつき、「必ずやこの研究を成し遂げよう、どんな障害があっても負けられない闘い。」だと思って研究に取り組んだのではないでしょうか。
すくなくとも、200億円とか600億円とか、いくら欲しいと聞かれたときにすぐには出てこないような、普通の人間では想像もつかない金額がもらえる、と思って発明を行ったわけではないと思います。
もちろん、研究者への逆境を推奨しているわけではありませんので、研究者の皆さんこの点は誤解なくお願いします(笑)。

結局のところ、企業に、経営者に求められているのは、自分(社員)の仕事が、日々の行いが、社会に必要とされていると思えるようなビジョンを社員に与えることなのではないでしょうか。自分(社員)が、この国で、この社会のために、この仲間たちと一緒に働きたい、そう思える環境こそが、企業が、経営者が整えなければならないものなのだと思います。
もちろん、ちょっとくらい(いやいやそこそこ?)贅沢ができるようなお給料がもらえるとありがたいですが・・・(笑)。

そして、Daniel Pinkさんの主張が正しいとすると、発明者が金銭的な報酬を望めば望むほど、クリエイティブな仕事ができなくなり、金銭的な報酬を望まない他の発明者等にクリエイティビティで差がついてしまい、結果として、良い仕事も金銭的な報酬も手にすることができなくなってしまいますので、そのようなことは避けた方が宜しいかと(笑)。

というわけで、時間がないので難しいと思いますが、産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会委員および事務局の皆さま、是非とも、イノベーションが生まれる環境とは何かを真剣に議論をしてから、職務発明制度はどうあるべきかを議論しませんか?