タイトルは、2014年9月3日の朝日新聞の記事のものです。
皆さんご存知の内容かもしれませんが、記事の詳細は以下のとおりです。
特許、無条件で会社のもの 社員の発明巡り政府方針転換


見出しをみて、もう、とにかくびっくりしました。
直近の第7回 (新)産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会では、産業界の分が悪いのは明らかで、これまでの産業界の要望が随分と後退したと思っていました。
ようするに、この朝日新聞の記事は、これまでの特許小員会の流れとあまりにも違う結論が書かれていたのです。

いったいどんな政治的な力を使ったのか?
仮に、そうだとしても、それで特許制度小委員会の委員の方は納得するの?!今後の小委員会、紛糾するな~。
などと思いつつも、無条件で会社のものになると、実務サイドとしては、楽だな~(笑)とか、短絡的なことを考えてみたり。
なんて、いろいろと頭の中がぐるぐるに(苦笑)。

ところがなんと、翌朝9月4日の日経新聞では、
産業界、報酬ルールに理解 社員の発明、特許は企業に 政府方針 金額算定が焦点

えっ、歩み寄ったのは産業界?!

一体、本当のところはどうなんだろう?と。
朝日と日経なら、やはり日経の方が信憑性は高い?いやいや、日経の法務知財関係も日頃の記事を見ていると、それほど正確な記事というわけでなないし・・・。
こういうときは(こういうときだけでなく?!)原典にあたる!
ということで議事録はまだですが、第8回の配布資料を確認してみました。

産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会 
第8回 議事要旨 配付資料

結論としては、日経新聞の記事の方が、真実に近いのかな?と思っています。
産業界から提出された参考資料4 意見書に以下のような記述があります。
使用者等は、一定の手続きを経て策定した契約、勤務規則等に基づき発明者に報奨する旨を法定することが、使用者等と従業者の双方にとって有意義であると考えます。
<略>
また、論点④で取り上げられている「「一定の場合」については別の制度を設ける」ことについては、ご指摘のとおり、制度が複雑になり実務が混乱すると考えられ、このような制度を採用することに賛同することはできません。

「一定の手続きを経て策定した契約、勤務規則等に基づき発明者に報奨する旨を法定する」とありますので、朝日新聞の記事に書かれていたような「無条件」ではないと思います。
ただ、「「「一定の場合」については別の制度を設ける」ことについては、ご指摘のとおり、制度が複雑になり実務が混乱すると考えられ、このような制度を採用することに賛同することはできません。」とも言っており、実質的に条件を骨抜きすることを考えているようにも見え、これを穿ってみると(疑心暗鬼に見ると?)、実質的には無条件とほぼ同じになる可能性はある気がしています。
ただ、それでも「無条件」というのは、言い過ぎですよね。

それにしても、朝日新聞の本記事への反響を見ると、「無条件(案)」には否定的な見解が多く、ほとんどは政府と産業界、特に経団連への批判コメントが多かったように思います。
もし、これが、産業界が実質的に「条件」を骨抜きにするのを阻止するため、世論を喚起することが目的だとしたら、朝日新聞恐るべしですね(笑)。

それとも、こんな風にリスクを探したり、裏読みしすぎたりするのは、法務の悪い癖でしょうか(苦笑)。