少し古い話になりますが、2014年3月11日の日経新聞の電子版の記事に、「特許審査期間を半減 世界最短14カ月以内」というものがありました。

最初にこの記事を読んだときに、いったい日本の特許庁は何をしたいのか?と疑問に思ってしまいました。

というのも、その記事には、
茂木経産相は特許を取得しやすくすることで「知的財産の活用を企業戦略の柱に据えてほしい」と強調した。
とあり、経産省も含めて、なんとなく頓珍漢なことをしている気がしていました。

「知的財産の活用を企業戦略の柱に据えてほしい」と思うのであれば、特許権取得までの期間を短縮するとか、そういうことではなく、取得した特許権で訴訟に勝つことができ、かつ、高額な損害賠償請求を認められることの方が重要だと思うからです。
迅速に特許権を取得できても、権利行使の際に、無効にされたり、仮に訴訟に勝てても、抑止効果となるほどの損害賠償請求が認められなければ、日本国内で特許権を取得する意義が低いと言わざるを得なません。
つまり、結局のところ、日本の市場としての魅力が減少していく以上、権利行使の実効性が高くなければ、日本の特許庁へ特許出願する件数は引き続き減少していくと思います。

しかしながら、今回は、前言撤回。日本の特許庁の戦略に脱帽です。
というのも、2014年6月6日の日経新聞の夕刊に、「特許審査、日米で共通化 来年4月から 両国当局が合意 」という記事がありました。
同様の記事が、2014年6月6日の日経新聞の電子版の記事にもあります。
「日米、特許審査手続きの簡素化で合意 二度手間省く」
日本の特許庁による審査を受ければ米当局がその結果を受け入れ、審査手続きの二度手間を省けるようにする。


どういうことかと言うと、もう一度、2014年3月11日の日経新聞の電子版の記事を見直して見ると、
現在は発明者が申請してから特許を得るまで平均29カ月かかっているが、2023年度までに半分以下の14カ月以内にする。実現すれば審査期間は世界最短になるという。
<略>
米国は現在では31カ月かかっているが、16年までに20カ月まで縮める目標を掲げている。
つまり、米国では、現状31カ月かかっている審査期間を2016年までに20カ月に短縮する目標を掲げており、これが実現されると、市場が大きく損害賠償額が高額となりうる米国で特許出願をするというインセンティブはさらに働きますが、日本で特許出願するというインセンティブは相対的に働かない方向になります。
しかしながら、米国の20カ月よりも短い14カ月で日本で特許権が認められ、かつ、その審査結果が米国で利用できるのであれば、日本の特許庁に出願して、日本語で権利化の手続きを行い、日本で特許権を取得したという審査結果を米国の審査に利用して米国においても特許権を取得できるのであれば、日本での特許出願は、かなり利用価値の高い制度になると思います。

このような一連の特許庁の施策の流れを見ると、日本の官僚も日本のために制度をづくりをしていると、改めて感心しました。
民間も負けないように頑張らないといけません。