少し古いのですが、2013年12月発行のIPマネジメントレビュー 第11号の特集「ICTと知的財産」に、東京大学政策ビジョン研究センターの小川紘一シニア・リサーチャーの「知財マネージメントが主役になる時代の登場 ~オープン&クローズの知財思想が必要となった~」という論文が掲載されています。


この論文は、以前、こちらで紹介した小川シニア・リサーチャーの「オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件」の超要約版です。


時間的な制約等から、「オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件」を読むべきか検討中の方は、まずは、IPマネジメントレビュー 第11号の論文を読んで、「オープン&クローズ戦略」が自社のビジネスモデルの参考になるかを検討してから「オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件」を読むかどうかを決めても良いと思います。

ところで、IPマネジメントレビュー 第11号の記事の中で、個人的に興味深かったのは、「知的財産アナリストレポート Vol.4」です。
内容は、特許調査・分析をする際の対象となるデータを集めるための「検索式構築についての検討」に関するもので、東京五輪開催に関連して競泳用水着を題材に、検索式の構築とそれによる特許調査を具体的に紹介しています。
基本的に、特許系の仕事は、職人の仕事というイメージがありますが、特許調査も職人の世界ですね。
知財系の資格というと弁理士が有名だと思いますが、弁理士試験では、このような特許調査に関する試験はありませんので、弁理士なら特許調査が得意というわけではありませんし、企業内の知財部員で、特許担当だとしても、発明発掘、出願系は得意でも、特許調査はしない、という人もいますし(そもそも他社特許の調査は費用対効果が悪いという理由で、それなりの規模の会社でも行わないというところも結構あるように思います。)、かくいう私も特許調査については専門ではありませんので、仕事でどうしても特許調査をしなければならないときは、きちんと調査ができているか、かなり不安です。。。
せめて、適切に外部の専門家に委託できるようにはなりたいと思うのですが・・・。

というわけで、今回のIPマネジメントレビュー 第11号の記事のように、特許調査の専門家の方がどのような作業をしているのかが分かると、外部委託先の選定に役立ちますし、また実作業のイメージが湧きますから、外部委託する際に効率的なコミュニケーションを行うことができる気がします。

最後に、以下、本号の目次です。

■ 巻頭言
・制度の進化を思う
特許庁長官 羽藤 秀雄

■ 特別寄稿
・スポーツビジネスと知的財産権
 
~ 東京五輪に向けた商業ビジネスにおける知的財産権の活用 ~

帝京大学経済学部教授 大坪 正則

■ 特集「ICTと知的財産」
・知財マネージメントが主役になる時代の登場 ~オープン&クローズの知財思想が必要となった~
東京大学政策ビジョン研究センター シニア・リサーチャー 小川 紘一

・情報セキュリティと知的財産 ~リスクベースによる対応強化~
工学院大学情報学部教授 大木 榮二郎

・ビッグデータと知的財産 ~プライバシーよりも根が深い問題の所在とは~
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャル・カウンセル弁護士 中崎 尚

■ 海外の知財最新事情に学ぶ(Vol.3)ブラジル編 2013
・―ブラジルにおける知的財産保護とサッカーW杯・リオオリンピックに向けた模倣品対策―
ブラジル弁護士 カラペト・ホベルト

■ 連載「知的財産管理技能士のための情報セキュリティワークショップ」
・第1 回 業務で安全にオンラインサービスを使うためにできることを考えよう
株式会社ディアイティ セキュリティサービス事業部副事業部長 河野 省二

■ 知的財産アナリストレポート(Vol.4)
・検索式構築についての検討 ― 五輪開催にテーマを寄せて ―
AIPE 認定 知的財産アナリスト 二級知的財産管理技能士(管理業務) 藤本 絵美

■ 交流会レポート
・第10 回 学習交流会レポート
交流委員会

■ 研修レポート
・第11 回 定例研修「戦略ツールとしての技術標準化」、特別研修「外国意匠制度」、
特別研修「パテントマップ活用講座」レポート
研修委員会

■ 連載「20 年後に、知財で経営に貢献していたいあなたへ
  ~未来を創る若手知財技能士に贈るエール~」
・第1 回「失敗を恐れず、一生懸命やり続ければ、それは天職となる」
丸島 儀一

■ コラム「一期一会」
・第7 回 先行技術とその例外適用の運用
 ~米国特許商標庁発表の審査官トレーニング用資料より~
米国特許弁護士 服部 健一

■ 中小企業のための知財関連情報
・ 知的財産の中小・ベンチャー企業支援について
特許庁普及支援課
■ 平成25 年度 知的財産管理技能士会研究会『研究報告書』中間報告
・中小企業における知財活用型経営の成功要因分析
研究会

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