2014年4月4日に開かれた(新)産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会の第2回の議事録が本日アップロードされました。
議事録は、こちら
2014年3月24日に第1回が開かれ、中10日で第2回。速いですね。


前回は、産業界からプレゼンでしたが、今回は、大学の研究者と産総研の研究者のプレゼンでした。
個人的には、北森武彦(東京大学 副学長)大学院工学系研究科教授のお話は、論理的で、今後の議論の方向性を示した、非常に整理された良いプレゼンテーションだったと思います。

例えば、北森教授の発言には、次のようなものがあります。
研究というのはアイデアが重要ですから、そのアイデアがどう生まれるか、誰が出すか、これは極めて重要なファクターです。今の先生の御指摘ですと、最終的にこうしようと言った、そのアイデアを出した人が発明者というデフィニションかと思うんですが、我々はそう考えていません。
なぜかというと、アイデアが出てくるプロセスというのはブレーンストーミングと言いまして、みんなでディスカッションするわけです。研究室ではセミナーなり、グループディスカッションなり、我々の研究室だと研究推進会議と言って、一人がプレゼンして、みんながああでもないこうでもないと言うわけです。そのときにいろいろな発言からインスパイアされて、じゃあこうしてみたらいいんじゃないのかなと誰かが発言して、よしそれで
行こうということになるんですが、そういった場合じゃあ誰が発明者なのかということになるわけです。
これはインスパイアさせた側も評価しています。インスパイアした側ですね。サッカーで言えばゴールした人だけではない、アシストも評価されます。ですから、それを議論した人たちが発明者になるということはよくあることです。(議事録14頁)
<中略>
今の現場の実情と法律で定められている発明者が逆に狭過ぎて、実情では発明者というのは、先ほど私がお話ししたとおり発明に貢献した人はもっと広いんです。
ですから、そこまで含めるようにしないと、逆にある人が法律で定められた発明者はおれだけだぞと主張し始めたら、それこそややこしい話になりかねないなという危惧はあります。(議事録20頁)

「発明者だけに報奨金を与えるのは不公平」という話をよく聞きますが、それは、技術者という発明者が生まれる部門とそれ以外の部門(例えば営業部門や管理部門)との不公平の話ではなく、技術者という発明者が生まれる部門内でも、特許法に基づいて発明者を認定すると、不公平になる、ということなんですね。

これは考えたことがなかったというか、今までそのように感じたことはありませんでしたが、言われて(読んで)みて、ある意味納得です。
特許法を勉強すると、発明者とは「発明の成立に創作的な貢献した者」「技術的思想を当業者実施できる程度まで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与した者」「発明の特徴的部分の創作行為に現実に加担した者」などと定義され、抽象的にアイデアを出しているだけではだめで、それを具体化した人を発明者としています。
排他的独占権という強力な権利が付与される者を特定するための定義であることを考えれば、法的な観点からは、これは正当化されて良いものと思います。
しかしながら、アイディアが出てくるプロセスについて、よりよいアイディアが出るように評価しなおす、という観点からは、特許法の解釈として通常採用されている発明者の定義は狭すぎてしまうのですね。

他にも、北森教授の発言で印象に残ったものとして、次のようなものがありました。
特許の価値というのは変わっていくということです。発明したときは大したことなくても、え、これがこんな価値生むのということはよくあり得ること。そういったことも少し御考慮いただければと思います。
それから、一般論ですが、ここの(この委員会の)議論の中で例えば研究者がインセンティブとして問題を解決することが第一だと。それは研究という業務に対してはそうかもしれません。だけどそれを特許、発明に関するインセンティブと混同してはいけない。研究という業務と発明というものに対して、ここではクリアに分けて御議論いただかないと、時々一緒になっているように思います。研究の対価を求める。先ほど赤井委員からありま
したように、それは支払われてうれしくない人はいないわけです。そこのところを研究業務のインセンティブとクリアに分けていただかないと、たまに混同しているなと思いますので、ぜひよろしくお願いできればと思います。(議事録38頁)

この話は、企業にも当てはまるような気がしています。
ちょっとうまく説明できるか自信がないのですが、そして、あっているかについてはさらに自信がないのですが・・・、個人的には、企業においても、「(研究という)業務」と「発明」を明確に切り分けて、そのうえで、発明の対価というか報奨金は、結局のところ、出願書類作成にかかる労務の対価だけで良いような気がしてきました。

この点については、再度検討を行いつつ、後日改めて整理してみたいと思っています。