2014年3月24日に第1回の会合が開かれた(新)産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会
急ピッチで会議が進められ、ここ1か月の間で、すでに第3回まで開催されました。
小委員会の審議内容は、職務発明制度の見直しです。


その特許小委員会の第1回議事録が、4月23日に公開されました。
議事録は、こちら

審議は始まったばかりですが、第1回目の議事録を読んだ感想は、おそらく産業界の要望どおり、職務発明の(原始的)法人帰属化という結論ありきの審議会のようです。
7月までに取りまとめをしなければならないというスケジュールもあってか、初回にして、ゴールが見えている気がしたのは私だけではないと思います。
企業の法務知財部員である私は、当然ながら、産業界がいう「相当の対価」の算出の手間とか、不安定さとか、そういう理由は理解できますし、もっともだと思います。そして、職務発明が原始的に法人に帰属するとなると、出願件数の多い企業であればあるほど事務手続きの効率化は大きいものと思います。事務手続きの効率化により、経費が利益になったり、社員に還元されたり、研究開発投資に回ることになれば、そのメリットは非常に大きいものになると思います。

さらに、産業界からは、
私ども産業界の状況を簡単に申し上げますと、発明者に対してはきちっと報奨を行っていく。その理由としては、産業界にとってイノベーションというのは非常に大事であって、そういったものをなくしては産業界が生きていけないという実態がございます。その意味では発明者にインセンティブを与えることは非常に重要なポイントになってくると思います。(議事録22頁)
とか、
「会社独自のイノベーションを起こすための制度をつくるために、今回のこの職務発明につきましては、いわゆる企業で生まれた発明につきましては法人帰属にしていただいて、それに対する報酬については企業の経営者に日本の産業界のかじ取りを任せていただきたい。(議事録30頁)
という発言がなされています。

発言自体は全くそのとおりだと思いますし、納得できます。
ただ、総論には賛成できても、各論には賛成できないというか、もちろん、世界的にみれば、給与・待遇等を含めた日本企業の報奨制度がトップクラスであるとは思います。
しかしながら、日本が、日本企業が競争をしている国々の企業と比較して競争優位性があるほどの報奨制度か?というと、それは心もとない気がしています。

もちろん、日本の企業にも素晴らしい報奨制度があるところもありますが、かなり少数派ではないでしょうか?
「報奨はお金だけではない。」という企業のうち、一体どのくらいの企業が、社会に対して、いや世界に対して誇れる報奨制度を持っているのでしょうか?

自由闊達さ、風通し、異(意)見の尊重、多様性、挑戦や失敗、働き方の柔軟性、女性への配慮、長期休暇、様々な理由による休職制度、社員の健康への配慮、社会に貢献できる仕事、誇れる仕事、これらに関する具体的な制度や仕組みで、名目だけのものでなく、社会に、そして世界に誇れるものは本当にあるでしょうか?
社長表彰だけなんて、笑い話にしか(いや、笑い話にも)ならないものだけなんてことはないですよね(苦笑)。

もし、そういった制度がないとしたならば、「それなら、お金だけでも欲しい。」なんて話になってしまうのも、無理はないと思います。