新卒の方や入社して間もない方から、知財部か法務部への配属を希望しているのですが、知的財産管理技能検定やビジネス実務法務検定の資格を持っていると有利ですか?
という質問をよく頂きます。
結論からいうと、ケースバイケース、というのが答えですが(笑)、前にも言ったかもしれませんが、法務部員や知財部員の回答として良くないもののひとつが「ケースバイケース」だと思うので(苦笑)、今日はもう少し具体的なお話をしたいと思います。
まず、ケースバイケースの理由としては、そもそも企業が知的財産管理技能検定を評価しているかどうかが鍵になります。
2013年に知的財産教育協会が実施したアンケートによると、知的財産管理技能検定については、以下の会社が推奨、評価しているそうです。
ここで推奨とは、受験料補助、合格報奨金付与、資格手当給付等を実施している企業です。
また、2010年に知的財産教育協会が実施したアンケート結果は、こちらで見ることができます。
これらの企業の知財部を希望する場合、知的財産管理技能検定の資格があることは有利に働くと思います。
上記のように推奨、評価までしていなくても、受験者数が多い企業では、知的財産管理技能検定の資格があることは有利に働くと思います。
こちらは、知的財産教育協会が第1回から第4回の受検申込時アンケートから算出した「受検申込者数の多い所属先企業100社」です。
これらの会社では、有資格者が多数いると思われますので、そもそも知的財産管理技能検定の資格がないと、弁理士資格等他に評価されるものがあるような場合を除いては、なかなか厳しいと思います。
逆に、このように企業が知的財産管理技能検定を評価していない場合は、どうでしょうか。
おそらく、知財に興味がない企業か、知財に興味はあっても有資格者がいない企業に分かれると思います。
前者の場合は、おそらく知財部等がないと思いますので、そもそも配属という話にならないと思いますが、逆に、後者の場合は、評価されると思いますので、知的財産管理技能検定の資格はあった方が良いことになると思います。
次に、何級に合格していることが望ましいかというと、正確なところは企業によると思いますが、やはり最低でも知的財産管理技能検定2級は取得しておくことが望ましいと思います。
なお、1級は受験資格で実務経験が要求されるため、新卒の場合は、通常受験資格がないため、そこまで要求されることはないと思います。
新卒段階で2級に合格していれば、実務経験1年で1級の受験資格が生じますので、早ければ入社3年目には1級の有資格者になれます。
ちなみに、2013年7月までの累計受験者数は 168,114人で、知的財産管理技能士数(1級+2級+3級)は約三分の一の 51,864人、1級の合格者は特許専門業務 1,413人、コンテンツ専門業務は109人です。
この数字から見ても、1級はそれなりに評価されて良い資格だと思います。
他方、ビジネス実務法務検定について、同じようなアプローチを取ると、知的財産管理技能検定と同じような資料を見つけることができなかったのですが、以下の企業が後援していそうです。
(他に、情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非ともご教示頂ければと思います。)
これらの企業は少なくともビジネス実務法務検定に興味を持っている企業ですので、ビジネス実務法務検定の資格があることは有利に働くと思います。
次に、何級に合格していることが望ましいかというと、こちらも正確なところは企業によると思いますが、やはりビジネス実務法務検定2級は取得しておくことが望ましいと思います。
というのもあくまで主観的なものですが、私の周りを見回すと、きちんと勉強をしている人は、ちゃんと2級に合格しているからです。
なお、知的財産管理技能検定と異なり、ビジネス実務法務検定は2級に合格していると実務経験がなくても1級を受験することができます。
1級の問題は論文ですので、新卒で1級に合格していると、単なる法律知識だけでなく、ある程度の論理的思考力や文章力があることをアピールできると思います。
特に、企業にビジネス実務法務検定の1級受験者がいて出題内容やレベル感を把握していれば、1級合格は新卒段階ではかなり有利に働くものと思います。
知的財産管理技能検定に比較すると、実務者向けの試験ではないので、その意味でも学生中に取得して、就職活動に臨めば、この点では有利に就職活動を進めることができるのではないでしょうか。
以上、少しは具体的に『知的財産管理技能検定』と『ビジネス実務法務検定』とが企業において、どのように評価されているか、その一端をご紹介することはできたのではないかと思います。
ただ、限られた時間を何に使うのか、悩ましいのは分かりますが、悩むことに時間を使うくらいなら、いずれの試験も2級なら、さっさと勉強して、受験して、合格して、次に進んだ方が良いと思います。
ある程度の勉強をしなければ、合格できないと思いますが、某法律系試験のように、いろんな意味で費用対効果が悪い試験ではないと思います。
というわけで、資格は、ないよりあった方がよい。
そして、資格があっても学びは続くのですから。
という質問をよく頂きます。
結論からいうと、ケースバイケース、というのが答えですが(笑)、前にも言ったかもしれませんが、法務部員や知財部員の回答として良くないもののひとつが「ケースバイケース」だと思うので(苦笑)、今日はもう少し具体的なお話をしたいと思います。
まず、ケースバイケースの理由としては、そもそも企業が知的財産管理技能検定を評価しているかどうかが鍵になります。
2013年に知的財産教育協会が実施したアンケートによると、知的財産管理技能検定については、以下の会社が推奨、評価しているそうです。
ここで推奨とは、受験料補助、合格報奨金付与、資格手当給付等を実施している企業です。
アサヒ飲料 | 旭化成 | 朝日新聞社 |
エンジニア | NTTコミュニケーションズ | NTTドコモ |
NTT西日本 | NTT東日本 | 大阪ガス |
沖電気工業 | オリエンタルランド | 花王 |
カシオ計算機 | 関西テレビ放送 | KDDI |
コクヨ | JR東海 | (独)産業技術総合研究所 |
シャープ | 昭和シェル石油 | (独)情報通信機構 |
新日鉄住金化学 | セイコーエプソン | 積水化学工業 |
ソニー | 大日本印刷 | 中国電力 |
中日新聞社 | 中部電力 | デンソー |
帝人 | 東レ | 東映 |
東宝 | 東京エレクトロン | TOTO |
トヨタ自動車 | 日本経済新聞社 | カシオ計算機 |
日本政策投資銀行 | 日立製作所 | 日立造船 |
博報堂 | パナソニック | 富士通 |
ブリヂストン | 三井化学 | 三菱マテリアル |
三菱電機 | ライオン | ワーナーミュージック・ジャパン |
また、2010年に知的財産教育協会が実施したアンケート結果は、こちらで見ることができます。
これらの企業の知財部を希望する場合、知的財産管理技能検定の資格があることは有利に働くと思います。
上記のように推奨、評価までしていなくても、受験者数が多い企業では、知的財産管理技能検定の資格があることは有利に働くと思います。
こちらは、知的財産教育協会が第1回から第4回の受検申込時アンケートから算出した「受検申込者数の多い所属先企業100社」です。
これらの会社では、有資格者が多数いると思われますので、そもそも知的財産管理技能検定の資格がないと、弁理士資格等他に評価されるものがあるような場合を除いては、なかなか厳しいと思います。
逆に、このように企業が知的財産管理技能検定を評価していない場合は、どうでしょうか。
おそらく、知財に興味がない企業か、知財に興味はあっても有資格者がいない企業に分かれると思います。
前者の場合は、おそらく知財部等がないと思いますので、そもそも配属という話にならないと思いますが、逆に、後者の場合は、評価されると思いますので、知的財産管理技能検定の資格はあった方が良いことになると思います。
次に、何級に合格していることが望ましいかというと、正確なところは企業によると思いますが、やはり最低でも知的財産管理技能検定2級は取得しておくことが望ましいと思います。
なお、1級は受験資格で実務経験が要求されるため、新卒の場合は、通常受験資格がないため、そこまで要求されることはないと思います。
新卒段階で2級に合格していれば、実務経験1年で1級の受験資格が生じますので、早ければ入社3年目には1級の有資格者になれます。
ちなみに、2013年7月までの累計受験者数は 168,114人で、知的財産管理技能士数(1級+2級+3級)は約三分の一の 51,864人、1級の合格者は特許専門業務 1,413人、コンテンツ専門業務は109人です。
この数字から見ても、1級はそれなりに評価されて良い資格だと思います。
他方、ビジネス実務法務検定について、同じようなアプローチを取ると、知的財産管理技能検定と同じような資料を見つけることができなかったのですが、以下の企業が後援していそうです。
(他に、情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非ともご教示頂ければと思います。)
旭化成 | アサヒビール | アルプス電機 |
伊勢丹 | 伊藤忠商事 | オリエントコーポレーション |
電通 | 東京海上日動火災保険 | 東京ガス |
東芝 | トヨタ自動車 | 野村證券 |
本田技研工業 | 三井不動産 | 三菱地所 |
三菱重工業 | 三菱東京UFJ銀行 | 三菱UFJニコス |
これらの企業は少なくともビジネス実務法務検定に興味を持っている企業ですので、ビジネス実務法務検定の資格があることは有利に働くと思います。
次に、何級に合格していることが望ましいかというと、こちらも正確なところは企業によると思いますが、やはりビジネス実務法務検定2級は取得しておくことが望ましいと思います。
というのもあくまで主観的なものですが、私の周りを見回すと、きちんと勉強をしている人は、ちゃんと2級に合格しているからです。
なお、知的財産管理技能検定と異なり、ビジネス実務法務検定は2級に合格していると実務経験がなくても1級を受験することができます。
1級の問題は論文ですので、新卒で1級に合格していると、単なる法律知識だけでなく、ある程度の論理的思考力や文章力があることをアピールできると思います。
特に、企業にビジネス実務法務検定の1級受験者がいて出題内容やレベル感を把握していれば、1級合格は新卒段階ではかなり有利に働くものと思います。
知的財産管理技能検定に比較すると、実務者向けの試験ではないので、その意味でも学生中に取得して、就職活動に臨めば、この点では有利に就職活動を進めることができるのではないでしょうか。
以上、少しは具体的に『知的財産管理技能検定』と『ビジネス実務法務検定』とが企業において、どのように評価されているか、その一端をご紹介することはできたのではないかと思います。
ただ、限られた時間を何に使うのか、悩ましいのは分かりますが、悩むことに時間を使うくらいなら、いずれの試験も2級なら、さっさと勉強して、受験して、合格して、次に進んだ方が良いと思います。
ある程度の勉強をしなければ、合格できないと思いますが、某法律系試験のように、いろんな意味で費用対効果が悪い試験ではないと思います。
というわけで、資格は、ないよりあった方がよい。
そして、資格があっても学びは続くのですから。
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