前回の「知的財産戦略とライセンス契約」で少し紹介しましたが、特許権を中心とした知財戦略は、キヤノン株式会社の専務取締役であった丸島儀一さんの「キヤノン特許部隊」が、おそらく日本で初めて、知財の仕事を可視化し、見える化した書籍ではないかと思っています。
2002年に発売された有名な書籍ですので、ご存知の方も多いと思います。


近々、自社の知財戦略を再構築したいと思ってるところでしたので、初心に帰って再読してみたところ、色々なことを思い出しました。

私がこの本に出会ったのは2003年か2004年頃だったと思います。もう、10年も前のことですね。
当時、私は知財部員で、3年くらいの実務経験を積んだ頃でした。
その頃ちょうど、知財の仕事に行き詰まっていたというか、最初に知財の仕事していたときのような面白さを感じられなくなってい法務部に戻りたいと思っていました。

ただ、諸事情あってなかなか法務部に戻ることができず、なんとか現状を打開しないと焦っていたのを良く覚えています。
そんな現状を打ち破るきかっけを与えてくれたのが、丸島先生の「キヤノン特許部隊」でした。

本書は、丸島先生へのインタビューをもとに書かれています。
そして本書のプロローグは、早稲田大学の電気工学科を卒業し電気技術者を目指してキヤノンカメラ株式会社に入社した丸島先生が、いきなり技術部特許課に配属され、それを不本意に思うところから始まります。

そうなんです。なんとなく、当時の自分の境遇と重ね合わせて読み進めました。
そして、読み終わったときには、もう少し知財部で頑張ろうかな?と思い始めた自分がいました(笑)。

私が知財の仕事に興味を失っていたのは、次に何をすべきか、何を目指すべきか、その目標を失っていたからだったんですね。
たとえば、丸島先生は本書のなかで以下のようなことについて言及しています。

『源流に入れ。』
『事業で稼ぐための特許戦略』
『攻めの知財と守りの知財』
『交渉とクロスライセンス』
『本当に重要な特許はださない。』
『欲しいと言わない交渉術』
『事業部を潰す』
『弁護士・弁理士事務所との付き合い方』
『通訳との付き合い方』

10年以上も前の書籍ですので、特許戦略=知財戦略となっているところなどは少し古いなと時代を感じさせるところではありますが、視点が鋭く、現在でも使える知恵がたくさんあると思います。

先ほどお話をしたように私は知財部員になって3年くらいの頃に、この本を読みましたが、知財部員になったらすぐに読んで欲しいと思いますし、学生でも3級知的財産管理技能士くらいの予備知識があれば、十分興味をもって読むことができると思います。企業の知財部がどのようなところで、弁理士とどのように仕事の内容が異なるのかも分かると思います。

というわけでは、本書は、配属間もない知財部員または3級知的財産管理技能士レベルの予備知識がある方にお勧めです。

<評価> ☆☆☆☆☆ (配属間もない知財部員または3級知的財産管理技能士レベルの予備知識がある方(学生・ロースクール生を含む)にとって。)