前回の『「特集 法務のためのブックガイド2014」を読んで。』の知財関連書籍の紹介において、学者の概説書で実務に生かせるのは北大の田村善之教授の「著作権法概説」。
という話をしました。




ただ、残念ながら、上記リンクのとおり2001年に第2版が出てから改訂がされていない、というのも前回お話したとおりです。

そんな田村教授の「著作権法概説」が、何故実務で生きるかというと、(私の所属している会社がIT業界ということと大きく関係しているとは思いますが(汗))プログラムに関する著作権問題やIT関連の著作権問題に関する記述が他の概説書に比較して多く、しかも、著作者や著作権者の利益にも一定程度配慮しつつ、安易に立法論に逃げ込むことなく、できるだけIT(情報技術)の進歩から生じる利益を享受できるように著作権法の解釈論を展開しているからです。

田村教授の著作権法の解釈論は、場合分けが丁寧で、その場合分けに基づいて十分な利益衡量が行われており、説得力のある論理展開がなされていると思います。
ただ、私の価値観に合うだけかもしれませんが。
まぁ、そのときは、すみません。。。(苦笑)


そんな田村教授が自炊代行業者の著作権問題について、一定の範囲において合法であるとする著作権法の解釈論が、Westlawのホームページにある「今週の判例コラム」というコーナーに掲載されています。

『自炊代行業者と著作権侵害の成否』

それほど長くない論文ですので、引用して紹介するよりも、興味のある方は、是非、こちらの論文をお読み頂ければと思います。
お読み頂ければ、私が、『田村教授の解釈論は、場合分けが丁寧で、その場合分けに基づいて十分な利益衡量が行われており、説得力のある論理展開がなされている。』と評していることがご理解頂けると思います。
それにしても、このレベルまで、自分ひとりの頭で考えられるようになれたら良いのですが。。。
さすがに、それは贅沢ですね。

というわけで(自分ひとりの頭で考えられるようになるのは、まぁ、難しいので(苦笑))、IT(情報技術)関連の最新の著作権法の問題についての最新の解釈論が反映された田村教授の「著作権法概説 第3版」が、今年中に出版されることを切に願っています。