2003年に発売された小谷弁理士の「商標教室(基礎編)」は、商標法の入門書として優れた書籍の一つとして学生はもちろん実務家の間でも評価されていました。
ただ、2003年の発売以来改訂されず、今日では中古本でも入手するのが困難になっていました(*)。
その小谷先生の「商標教室(基礎編)」が「新 商標教室」として復活です。

* 2013年6月2日(日)追記
「新 商標教室」の著者の小谷武弁理士が所長をされている不二商標綜合事務所のホームページで「商標教室(基礎編)」「「商標教室(判例研究編Ⅰ)」「「商標教室(判例研究編Ⅱ)」の「商標教室」シリーズが1割引きで購入できるようです。

私が、知財の仕事を始めて2年ほど経ったときに「商標教室(基礎編)」に出会ったのですが、そのときの衝撃は今でも良く覚えています。
特許権や著作権に比べると、いまひとつ権利自体、ひいては法律自体に興味を惹かれなかった商標権と商標法ですが、「商標教室」シリーズは私が完全に商標権と商標法の世界を見誤っていたこと、そして、特許権や著作権とは、また一味違ったマニアックな世界が(笑)商標権と商標法にあることを非常に分かりやすく教えてくれた本です。
もちろん、マニアックな世界を教えてくれたというのは付随的な事柄で、商標実務を行う上で、本当に大事なことをその本質から丁寧に解説してくれる良書でした。
ところが、前述のとおり、2003年の発売以来改訂がなされず、入手困難な希少本になっており、私も会社の蔵書にあったものを読んだだけで、手元に置くことができませんでした。
それが今回改訂されたのですから、本屋で出会って即断即決。購入せずにいられませんでした(苦笑)。

さて、旧書の話はこれくらいにして、本書の話を。
本書は、私が旧書に出会った、その時の衝撃をそのままにして、近時の裁判例を踏まえた大幅な加筆がなされています。
本書の最大の特徴は、他の商標法の書籍とは異なる構成をとっていることです。
その構成とは、「第1章 商標論」「第2章 商品論」「第3章 識別性論」「第4章 類似性論」「第5章 制度論」というものです。
商標法をこのような視点で分析することが本書の最大の特徴であり、そして、これらの視点から非常に分かりやすく商標法を解説していることで、商標法を始めて勉強する方でも、すんなりと商標法のディープな世界が理解できる(笑)ようになっているのだと思います。
また、仕事で商標関係の仕事をしている方にも、きっと本書を読めば、日ごろなんとなく行ってきた商標業務が面白くなるような新たな発見があると思います。

というわけでは、本書は、これから商標法を勉強しようと思っている学生または社会人の方はもちろんのこと、日ごろの商標業務に飽きてしまった知財部員ないし法務部員の方にお勧めです(笑)

<評価> ☆☆☆☆☆(入門者から中級者まで)