先日、契約交渉のスタンスにおいて、「とりあえず自社に有利なドラフトを提示し、基本的に修正は不可と言ってから、交渉を開始する」ということについて、ちょっと批判気味に書いてしまったようで、「このような方法はダメなんですか?」というご質問というか、ご意見を頂いてしまいました。


「ダメですか?」と聞かれると、「いや、ダメとか、そういうことではなくて、正直なところ、ケースバイケース。」ということなんだと思っています。
ただ、法務のダメな回答の典型が、ケースバイケースだと思っていますので(苦笑)、ケースバイケースというだけでなく、できるだけ判断基準を示したいと思います。

まず、良い場合の判断基準ですが、ビジネス上の戦略として、本当に譲れないのであれば、譲れないということで、最初から修正不可ということは悪いことではありませんし、むしろ、良いことだと思っています。
これは、基本的に前回と同じ考え方です。
特に、中小企業とか、業界の中で弱い立場にある企業などは、ビジネス上の力関係から、交渉はできないと思い込んでいる(思い込まされている)のであれば、一度、このような方法の採用を検討してみても良いと思っています。
社員が幸せで、きちんと利益がでている会社ならまだ良いですが、譲ってしまうことで、ビジネスが先細り、利益率がどんどん悪化していくような契約条件の譲歩は避けるべきだと思いますし、少なくとも、そのような判断は経営判断に近いものであって、経営層ないし経営層から判断する権限を委譲されている方が判断すべきものだと思っています。

では、逆にダメな場合の判断基準ですが、これは先ほどの逆で、ビジネス上の戦略として、譲れるものなのに、譲れないとして、修正不可というスタンスで交渉を開始してしまうかどうかです。もう少し具体的に説明すると、たとえば、ビジネスサイドがきちんと法的なリスクも含めてリスクを評価し、それを上回るメリットがあると判断した場合なのに、法務が修正不可というところから交渉を開始するように契約レビュー等でアドバイスするような場合です。

そんなことしないよ。
という声が聞こえてきそうですが、本当に、こんなことをしていない方はいいのですが、意外と、取引の実態と、それに対するビジネス判断をヒアリングすることなく、契約書面だけ見て、ここはリスク、ここは当社に不利といったコメントを付している方もいらっしゃるように思います。
次回は、最近私が経験した事例で上記に近いものをご紹介したいと思います。
業界が違う方には、分かりにくい話になってしまうかもしれませんが、できるだけ分かりやすくお話したいと思います。