今回は、中国企業への制作委託契約の作成にあたって、創作された著作物の著作権帰属について調べたことをまとめてみました。
この調査をするのは2回目ということもあって、今回はだいぶ整理できたように思います。

まず初めに、そもそも中国法を契約準拠法にしないと、この問題は気にしなくても良いのでは?


という質問について、結論から先に述べると、仮に契約準拠法を日本法にしても、中国著作権法を気にしないといけないと思います。
その理由は、後ほど説明するとして、まずは中国著作権法について条文を見てみます。

中国著作権法11条1項は「著作権は著作者に帰属する」と規定し、同条2項で「著作物を創作した公民を著作者とする」と規定しています。つまり、著作物を創作した自然人が著作者で著作権者であるということです。また、1項の帰属は、原始的帰属であると考えられています。
この点の考え方は、日本の著作権法と同じです。

次に、同条3項は「法人又はその他の組織が主管し、法人又はその他の組織の意思を代表して創作し、かつ、法人又はその他の組織が責任を負担する著作物については、法人又はその他の組織を著作者とみなす。」と規定しており、一定の要件を満たすと、法人自身が著作者となる法人著作が成立するとしています。

さて、問題はここからです。中国著作権法16条1項は「公民が法人或いはその他の組織にかかる業務上の任務を遂行するために創作した著作物は職務著作であり、本法第二項の規定を除き、その著作権は著作者が享有する。」と規定しております。
この規定は、要件は異なるものの日本の著作権法15条の職務著作と同様の趣旨の規定と思われます(仕方を見ると、職務著作よりも職務発明に近い考え方だと思います)。

つまり、中国著作権法では、法人著作と職務著作という概念があり、その要件の差は上記のとおり(かなりあいまい)で、効果の面でも法人著作は著作権が法人に原始的に帰属すると解されていますが、職務著作は著作権が国民に原始的に帰属し、その後、法人等に移転することになると解されています。

さらに、中国著作権法17条は「委託を受けて創作された著作物の著作権の帰属は、委託者及び受託者が契約により定めることとする。」と規定しています。そして、ここでいう著作権の帰属とは原始的帰属と解されています。
そうなんです。。。委託契約で原始的に著作権が帰属する人を決められるのです。。。

以上を前提に、日本企業が中国企業と著作物が発生する業務の委託契約を、日本法を契約準拠法として締結したとします。
もちろん、日本企業と中国企業との間の著作権の帰属は、日本の著作権法を基に考えるということで良いのですが、そもそも中国企業に日本企業に移転できるような著作権があるかどうかは、どこの国の法律を前提に考えるのでしょうか。
もし、中国企業の従業員が創作をしているのであれば、委託先の中国企業が著作権を持っているかどうかは、中国の著作権法で判断されることになりますよね。
そうなんです。中国の著作権法の理解が必要なのです。

もちろん、これは中国企業との取引だけに限った話ではなく、海外の企業から著作権を移転させる取引をするときには、その海外企業のある国の著作権法の調査が必要なんです。

無方式主義の著作権は、法務泣かせです(苦笑)