ようやく本題です(すみません。。。)。
SNSゲームは数多くあり、それぞれ少しづつシステムは違いますが、ほとんどのSNSゲームにおいて「有料ガチャ」が採用されているように思います。
さて、この「有料ガチャ」ですが、いったい何に対してお金を払っているのでしょうか?
いったい何と対価関係があるのでしょうか?


ガチャで得られるのは、SNSゲーム内のアイテムの所有権とか著作権という話はさておき(1年ほど前にはそんなコメントもたまに見かけましたが)、ゲーム内アイテムの利用権(より正確には使用権)というのが 、最近では一般的な認識ではないでしょうか。
しかし、この説明は景表法(景品)との関係で問題があるように思います。もちろん、すべてのSNSゲームにおいて問題があるわけではなく、きちんと景表法を踏まえてシステム設計されていれば問題ありません。ただ、私の知る限り、多くのSNSゲームでは景表法の一般懸賞および総付懸賞への該当性を検討しているものは少ないように思います。

有料ガチャ(300円)の対価がアイテムの利用権だとすると、無料ガチャで得られるものもはいったいなんでしょうか。おそらく、こちらもアイテムの利用権と説明するのだと思います。
そして、無料ガチャが、どんな条件で与えられるかというと、
・1日1回のゲームへのログイン時
・1日のある特定の時間帯へのログイン時
・SNSゲーム内の特定の行為に対する対価(たとえば、ゲーム内の友人等にメールを送ると、ゲーム内ポイントが付与され、そのポイントで無料ガチャができるとか)etc
とあります。
もし、有料ガチャと無料ガチャで取得できるアイテムの種類が同じ、若しくは重複する部分があるとすると、最低でも一日に300円程度のアイテム利用権を提供していることになります。

なぜ、そんなことをするかといと、そうなんです、毎日ログインして欲しいんです。毎日ログインして、毎日有料ガチャの誘惑に直面して欲しいのです(笑)。無料ガチャでは、いわゆるレアアイテムはなかなかでてきません。毎日毎日無料ガチャを回しても(押しても)、なかなかレアアイテムがでてこないわけです。
そして、日々のバトル等に敗れていくわけです(レアアイテムが無いことで、ゲームが有利に進行しないわけです。)。
その一方で、毎日有料ガチャの宣伝広告にさらされます。有料ガチャならレアアイテムが獲得できる確率が高いですよ、と毎日誘惑されるわけです。
そして、ある日とうとう誘惑に負けて有料ガチャを回して(押して)しまいます。

改めて消費者庁のQ&AのQ13を見てみると、

景品表示法上の「景品類」とは、
(1) 顧客を誘引するための手段として
(2) 事業者が自己の供給する商品・役務(サービス)の取引に付随して提供する
(3) 物品、金銭その他の経済上の利益
であって、内閣総理大臣が指定するものをいいます。

そして、Q14で「顧客を誘引する手段」には、『新たな顧客の誘引に限らず、取引の継続又は取引量の増大を誘引するための手段も「顧客を誘引するための手段」に含まれます。』とし、
さらに、Q15で「取引に付随」する場合とは、『取引を条件として他の経済上の利益を提供する場合はもちろん、取引を条件としない場合であっても、経済上の利益の提供が、取引の相手方を主たる対象として行われるときには、「取引に付随」する提供に当たります。』としています。

つまり、(1) 「有料ガチャ」を購入してもらうために(顧客を誘引するための手段として)、
(2) 毎日ログインしてSNSゲームを行っており、有料ガチャを行っている、または行う可能性のある取引の相手方を主たる対象として(取引に付随して)、
(3) SNSゲーム内のアイテム利用権〔通常300円程度〕(物品、金銭その他の経済上の利益)
を提供しているわけですから、景品表示法上の景品にあたります。

そして、毎日ログインする方全員にもれなくプレゼントする場合は、つまり総付景品となって、取引額の2割(取引額が1000円以下の場合は200円)までしか景品をあたえられないのに・・・。
無料ガチャ(300円)や時には購入すると300円の回復系のアイテムがもらえたりすると、それだけで総付景品の範囲を超えた景品が提供されてしまいます。
私は、今回のQ&Aで、消費者庁が無料ガチャを景品表示法違反にする素地を作ったと思っています。

さて、これを避けるための方法として、有料ガチャは、時間を買っている、若しくはレアカードがあたる確率を高くしてもらう権利を買っている、という説明がありえます。
つまり、無料ガチャだと確率が低すぎて、レアカードを獲得するまでに時間がかかりすぎるので、手っ取り早い方法として有料ガチャがあるという説明です。
このような有料ガチャであってもアイテムの利用権は無料という考え方は、実は、利用規約との整合性が良いです。アカウントの停止やサービスの中止の際に、有料ガチャで得たアイテム利用権であっても、それは無料なのだから、消費者の不利益はない、と主張できるからです。
そして、アイテムの利用権が無料なのであれば、無料ガチャで得られるもの(アイテムの利用権)も当然無料となって、経済的対価を支払って取得するものにならず、上記いう(3)の要件がかけます。仮に、消費者庁が強引にアイテムの利用権に経済的対価が支払っているといっても、実際に販売していない以上、価格を算定することは不可能だと思います。有料ガチャの価格設定を複数も受けた場合は、さらにこの価格算定は難しいものになると思います。

今のところ、私自身は、景表法違反を回避するには、この説明が良いのかなと思っていますが、他に良い説明方法があったら、どなたかご教示下さいませ。
というのも、この考え方、景表法的にはいいのですが、賭博につながる可能性があって、別の説明をする必要があると思うからです。

『アイテムの利用権は無料で、通常経済的対価を支払って取得するものではない。』
と説明した場合、何故、SNSゲーム提供事業者はアイテム利用権のトレードを禁止するのでしょうか?
何故、リアルマネートレード(RMT)が流行って、それを禁止しなければならないのでしょうか?
それは結局のところ、レアカードの利用権は、SNSゲーム提供者がなんと説明しようと、経済的対価があってお金を出してでも欲しいものであり、そして、その利用権の経済的価値は、アイテムによって変わるものなのです。このことは、実際にRMTの市場を見てもらえば、分かると思います。
そうなると、つまり、ユーザーは300円払って、300円以下のアイテム利用権を手にいれたり、逆に300円以上、時には数万円から数十万円の経済的価値の付くアイテム利用権を手にいれているのです。
胴元(SNSゲーム提供事業者)に、一回300円の場代や掛け金を払って(有料ガチャ)、300円以下(実質0円~300円)のアイテム利用権(はずれ)から時には数万円から数十万円のアイテム利用権(あたり)をもらう。

以上、私の個人的な思い込みかもしれませんし、うがった見方かもしれません。
このままシステムを維持して、景表法違反の可能性のある道を進むか、説明を変えて賭博の問題と真正面から向き合うか、それとも今回の消費者庁のQ&Aを受けて景表法違反とならないようなシステムに変えて、かつ、賭博の問題を避けるか。。。。。
いずれにしても、未成年者だけでなく、大人へも行き過ぎた課金が行われ、それが続けば消費者庁だけでなく、今度は本当に警察が動くことになるかもしれませんね。

『インターネットを通じて、世界をより良くする。』
是非、そうして欲しいと思います。