企業提携(アライアンス)に関する契約書を作成するときに、ビジネス上の力関係とか、しがらみ等の諸事情から、筋の悪いビジネススキームになってしまうことがあります。
私だけかもしれませんが、こういうの結構あったりするんですよね(苦笑)。

筋が悪いといっても、ほとんどの場合それは法務サイドからの観点であって、ビジネスサイドにしてみれば、得るものを得て、捨てるものを捨てた交渉の結果であり、それが法務サイドの観点、つまり民商法上の観点から筋が良いか悪いかなんて全く考えていないのが普通。。。
(たまに、純粋にビジネス的な見地からみて筋が悪いケースもあるけど。。。)

今回は、企業提携(アライアンス)に関する契約書を作成するときに、法務サイド(民商法)の観点からみて筋が良いのか悪いのかを判断するための基礎的な法律知識の整理をしてみます。
民法は意識していても商法までとなると、基礎的な知識とは言っても、以下の2つの法律構成を正確に理解していない方もいらっしゃると思います。

『仲立』
他人間の商行為を媒介すること。
*「媒介」とは、当事者間の間に立って、それらの者の間に法律行為を成立させることに力を尽くす活動のこと。
*「仲立人」とは、仲立する人のこと。商法上は、他人間の商行為を媒介することを業とする者(商法543条)。

仲立契約は、委託者と仲立人の間で取り交わされる、媒介という事実行為をすることの委託であり、準委任契約です(民法656条)。

『取次ぎ』
自己の名をもって他人(委託者)のために法律行為をすることを引き受けること(商法502条11項)。
「自己の名をもって」とは、「自己が権利義務の主体となって」という意味で、「他人(委託者)のために」とは、「他人の計算、すなわち経済的損益を他人に帰属させて」という意味です。

*「問屋」とは、取次の一類型で、物品(有価証券を含む)の販売または買入れ(売買契約の締結)を引き受けることにより手数料を取得することを業とする者(商法551条)。
*「準問屋」とは、販売または買入れでない行為の取次ぎを業とする者(商法558条)。

問屋契約は、委託者と問屋の間で取り交わされる物品の売買を問屋の名、委託者の計算においてする旨の一種の委任契約です(民法643条)。従って、問屋と委託者の関係については、商法の問屋に関する規定のほか、民法の委任に関する規定が準用されます(商法552条2項)。

民法上の代理、委託販売および売買に加えて、商法上の代理、仲立ち、取次ぎ(問屋)まで視野を広げて法律構成してみると、意外とビジネスサイドが考えたビジネススキームも法的には十分説明できる構成だったりすることがあると思います。